ダイヤルゲージの針がわずかに動くたびに、
目よりも先に、指先が反応している。
寸法のわずかなズレを感じ取りながら、
まるで体が「こっちだ」と教えてくれるような感覚。
図面は確かに“正解”を示してくれる。
でもそれだけでは、良いものはできない。
ほんの少しの違和感、手に伝わる金属の反発、
そのすべてが経験となって、“正解の幅”を手の中に育ててくれる。
長年の仕事の中で、工具の使い方も、
力の加減も、すべてが“自然に”なっていく。
それはきっと、誇っていいことだと思う。
今日もまた、手が先に動いてくれるからこそ、
自分の仕事に安心できる。
