作業はほぼ終わっていた。
寸法も合っているし、見た目も悪くない。
でもどこか、まとまりきっていない感じがあった。
仕上げのつもりで、もう一度、角を軽くなでるように削ってみた。
あるいは、最後のネジをほんの少し締め直してみた。
その“ひと手”が入った瞬間、すべてが整った気がした。
わずかな違いかもしれない。
でも、その違いを大切にすることで、
「自分の仕事だ」と胸を張れるものになる。
完成は、機械が止まった時じゃない。
手が「これでいい」と納得した時。
今日は、その瞬間にちゃんと出会えた気がした。
