「春から初夏へ、匂いが変わる」
昼休み、ふと外の空気が吸いたくなって出入口のベンチに腰かけた。 風が頬をなでていく感覚が、なんだか昨日と違う。少しだけ湿気を帯びて、草のにおいが濃くなった気がした。 毎日同じように見える景色でも、風のにおいは、季節の境目 …
昼休み、ふと外の空気が吸いたくなって出入口のベンチに腰かけた。 風が頬をなでていく感覚が、なんだか昨日と違う。少しだけ湿気を帯びて、草のにおいが濃くなった気がした。 毎日同じように見える景色でも、風のにおいは、季節の境目 …
日曜日の午後。今日はいつもよりゆっくりと、倉庫の整理をしていました。 仕事の終わりに、使った道具を布で拭き、磨いて、箱に戻して、棚へと収める。それだけの作業なのに、気持ちがすーっと 落ち着いていくのが不思議です。 整った …
作業台の上に置かれた部品を、何気なく手に取る。測定具を当てると、指が自然に動き出して、寸法を読む目と、触れている感覚がぴたりと重なりました。 何度もやってきた作業。でも不思議なことに、頭で考えるよりも早く、手が、指先が、 …
今朝、工具棚の前でひとつひとつ道具を並べていると、カチャ、カチャと金属の音が小さく響きました。 作業台に置かれたレンチ、ハンマー、ペンチ。どれもいつもの道具なのに、ひとつずつ手に取るたびに、体がリズムを思い出していくよう …
連休が明けて、久しぶりの稼働日。 朝の工場にはまだ静けさが残っていて、空気が少しだけ重たく感じました。でも、荷物を動かし始め、段ボールを開け、道具を手に取っていくうちに、少しずつ身体も頭も“いつもの感覚”に戻ってきました …
今日は振替休日。工場の機械は止まり、作業着姿の人もいない。 いつもはプレスの音や誰かの声が飛び交うこの場所も、休みの日はまるで別の空間のようです。 壁にかかった時計の針が「コチ、コチ」と時を刻む音。ゴム底の靴が床を踏む音 …
こどもの日。世間では鯉のぼりが空に泳ぎ、家族で過ごす時間が流れているのでしょう。 休憩中、ふとコーヒーを飲みながら作業の手を見ました。がっしりとした手のひら、硬くなった指先、油の染みついた爪。「いつから、こんな手になった …
今日は憲法記念日の祝日。いつもの喧騒が嘘のように静まり返った工場に立つと、普段は気づかない景色が見えてきます。 窓から差し込む柔らかな光が、段ボールや棚の間を縫うように床を照らし、静かに影を落としていました。誰もいない作 …
ゴールデンウィークの間の一日。今日は、休み明けの仕事に向けて、少しずつ道具を整える「仕込みの日」です。 作業台の上に並べた工具を一つひとつ手に取り、丁寧に汚れを拭き取り、油を差していきます。普段は作業に追われて気づかない …
今日から5月。空はどこまでも青く、やわらかな春の風が工場の周りを心地よく吹き抜けていきます。 午前中の作業を終えて、ふと外に出てみると、いつもとは違う景色が広がっていました。新緑がまぶしく、田んぼの水面もきらきらと光り、 …